約30日で太平洋から大西洋へ! にわかに注目を集める北極海航路

   

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北極海航路

「北極海航路」と聞いてピンと来る方は少ないかもしれない。

近年、ロシア、ヨーロッパ、アジア諸国は北極海航路に大きな期待を寄せている。

なぜなら、北極海航路を利用するとアジアとヨーロッパとの航路時間が大幅に短縮されるからだ。この記事では北極海航路の概要と現状を見ていく。

そもそも、北極海航路とは?

北極海航路とは一般的にロシアの北側、シベリア沖を通るコースを指す。

北極海航路を利用すると、太平洋と大西洋との往来が可能になる。なお、同じ北極圏でも、カナダの北側を通るコースは「北西航路」と呼ばれている。

さて、北極海航路を利用すると、どのようなメリットがあるのだろうか。

最大のメリットは大幅な時間短縮だ。北極海航路は現在の南周りと比べると3分の2ほどの距離になる。現在、南回りでは約40日~50日かかる。北極海航路を使うと約30日までに短縮できる。

二つ目は輸送コストが抑えられることだ。時間短縮が実現できれば、当然のことながら、人的・物的コストが3割~4割ほど抑えられる。

三つ目は治安が良好であることだ。南回りでは、東南アジアやアフリカ海域を中心に海賊のリスクが高くなっている。

その点、北極海航路では海賊のリスクがない。南回りと比べると、安全に貿易船を運航できる。

このように、北極海航路は日本だけでなく、世界の物流を大きく変える画期的なルートだ。しかし、北極海航路は限定的な運用にとどまっている。なぜ、本格的に運用されないのだろうか。

北極海航路を阻む三つの氷山

世界初の原子力砕氷船「レーニン号」、ロシア・ムールマンスクにて

世界初の原子力砕氷船「レーニン号」、ロシア・ムールマンスクにて

北極海航路をメジャー航路にするには数々の難問を解決しないといけない。

一つ目は気候条件だ。北極海には数多くの氷が浮かんでいるので、通常の船は北極海を航行することはできない。

そのため、砕氷船や氷を押しのけて航行できる耐氷船が必要となる。砕氷船や耐水船は氷に耐えられる特別仕様のため、通常の船と比べるとコストがかかる。

二つ目は港が少ないことだ。船に何か異常が発生した場合は最寄りの港に立ち寄り、そこで修繕する。

しかし、北極海には緊急時に対応できる港、避難港が少ない。北極海に面するロシア側の対応が求められる。

三つ目は船員への教育だ。北極海は他の海域とは大きく環境が異なるので、特別な技術が求められる。

そのため、北極海の環境に対応できる船員を育てなければならない。北極圏航路を本格的に行うならば、教育コストを十分に考える必要がある。

このように多くの課題があるが、時間短縮ができる北極海航路は魅力的だ。

また、北極海には豊富な天然資源が眠っている。北極海航路はエネルギー問題ともつながっている大きなプロジェクトなのだ。

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1987年生まれ。神戸市出身。神戸大学大学院国際文化学研究科修了(国際関係・比較政治論コース)。専門はユーゴスラビアといった中東欧の政治・国際関係。
民間企業に勤務後、3ヶ月間の中東欧でのバックパッカー体験を経て、2016年より独立。『Compathy Magazine』『TRIP’S』など複数のメディアで活躍中。

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