「ロシアの春」は訪れるのか? 汚職デモをめぐって

      2017/05/07

スポンサーリンク
メドベージェフ

(photo from Twitter[@MedvedevRussiaE])

日本では大阪府豊中市の「森本学園」による土地売却問題に大きな注目が集まっている。

一方、ロシアではメドベージェフ首相の「腐敗」が大きな話題となった。

そして、ロシアにしては珍しく反政府の無許可デモも大々的に行われた。

このデモは「ロシアの春」に発展するのだろうか。さっそく、ロシアの状況を見ていきたい。

人気ブロガーが暴露したメドベージェフ首相の汚職

事の発端は今年の3月にYOUTUBEにアップされた50分にも渡る長編ムービーだった。

この長編ムービーにはロシアのメドベージェフ首相が贈収賄により広大な土地を購入したことが紹介されている。

広大な土地には豪邸、ヨット、ワイン畑など、およそ庶民とはかけ離れた贅沢な暮らしぶりが紹介されている。

しかも、様々な証拠を紹介しながら、違法に管理されていることを暴露している。

本格的なテレビ番組さながらの作りなので、ロシア語がわからなくても楽しめる内容だ。

この長編ムービーを制作したのは汚職告発団体「反汚職基金」のアレクセイ・ナワリヌイ氏だ。

彼はブロガーとしても知られており、政府の汚職を鋭く追求し続けている。

ムービーがアップされて以降、視聴者数は1800万人を超え、「いいね」が53万人を超えている。

視聴者数の全てがロシア人ではないが、少なくとも多くのロシア人がこのムービーを「見た」といっていいだろう。当然、このムービーを見たロシア人はカンカンに怒った。

YouTube動画が大規模デモへと発展

ムービー発の怒りは大規模なデモへと発展した。3月26日、モスクワ、サンクトペテルブルク、ウラジオストクなどの90の都市で、腐敗に抗議する無許可デモが行われた。

ハフィントンポストによると、モスクワでのデモの参加者は1000人だったという。

しかし、ここからが日本とロシアの大きな違いだ。このデモは無許可で行われた。

そのため、当局は警察官を動員し、多くのデモ参加者が拘束された。ムービーを制作したナワリヌイ氏も15日間に渡って拘束され、罰金を命じられた。

なお、ロシア国営メディアはデモで発生した警察官への暴力に焦点を当てている。

「ロシアの春」は訪れる?脆弱すぎる野党は正直期待薄

プーチン

国内ではプーチン大統領の与党「統一ロシア」一強だ(photo by kremlin.ru)

西側メディアの中にはこのデモをきっかけに「ロシアの春」つまり、プーチン・メドベージェフ体制の崩壊を論じているものがある。

しかし、現時点では「ロシアの春」は起こらないと考える。まず、あまりにも野党が脆弱だからだ。

ロシア下院の最大勢力は共産党だが、共産党の支持者は年金生活者に限られる。共産党の次の勢力は極右の自由民主党だ。

また、地方では利益誘導により、現政権への支持率が圧倒的に高い。少なくとも、今回のデモをきっかけに、ロシア全域で「ロシアの春」が起こることは考えにくい。

スポンサーリンク
1987年生まれ。神戸市出身。神戸大学大学院国際文化学研究科修了(国際関係・比較政治論コース)。専門はユーゴスラビアといった中東欧の政治・国際関係。
民間企業に勤務後、3ヶ月間の中東欧でのバックパッカー体験を経て、2016年より独立。『Compathy Magazine』『TRIP’S』など複数のメディアで活躍中。

 - 社会ニュース , ,