【ボスニア・ヘルツェゴビナ情勢】1枚岩とは言い難いボスニア人とクロアチア人

   

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今まではボスニア・ヘルツェゴビナ内にある2つの構成体(ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦とスルプスカ共和国)の対立を見てきた。

今回はボスニア・ヘルツェゴビナ連邦(以下略:ボスニア連邦)に住むボスニア人とクロアチア人との関係を見ていく。

一見すると、ボスニア人とクロアチア人は一枚岩のように見えるが、実態は「一枚岩」からほど遠い。この記事では、私の実体験とニュースに基づいて進めていきたい。

ボスニア連邦からの分離を目指すクロアチア人

カトリック教徒のクロアチア人はボスニア・ヘルツェゴビナの中で第三勢力(約2割)に位置する。

ボスニア紛争ではセルビア人に対抗するために、ボスニア人と共闘した(共に対立した時期もあったが)。

その結果、1995年のデイトン合意ではボスニア人と共に連邦を組むことになった。

クロアチア人は主にボスニア・ヘルツェゴビナの南西部に居住している。

クロアチア人が居住する西ヘルツェゴビナ県からはクロアチア共和国、初代防衛大臣のゴイコ・シュシャクが生まれている。

さて、クロアチア人勢力はボスニア連邦からの分離を目指している。つまり、ボスニア・ヘルツェゴビナの中で三つ目の構成体の設立を目指しているのだ。

クロアチア人勢力から見ると、多数派のボスニア人勢力によって実権が独占されることへの警戒感が強い。

一方、ボスニア人勢力はクロアチア人勢力からの提案に強い不満を表明している。ボスニア人の政党である民主行動党はクロアチア人勢力からの提案を「非現実的」と一蹴している。

クロアチア人が提案する「三番目の構成体」は国内外からの支持が得られないことから、実現は難しいだろう。

しかし、ボスニア・ヘルツェゴビナの正当性を揺るがす要素として、くすぶり続けるのは間違いない。

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「民族融和」とはほど遠い実態

モスタル カトリック教会 クロアチア

モスタル、クロアチア人地区にあるカトリック教会

私は2015年秋に、ボスニア人とクロアチア人が混在しているモスタルを訪れた。

世界遺産に登録されているスタリ・モストの近くを走る道路によって、ボスニア人とクロアチア人との住み分けが徹底されている。

私はボスニア人側の宿に泊まった。ボスニア人のオーナーはとても優しい方だった。

しかし、クロアチア人側の観光名所(メジェゴーリエ)の行き先を尋ねると、無愛想な返答が返ってきたのが印象的だった。

また、ボスニア人居住地域とクロアチア人居住地域は同じ町でありながら、区画が異なるように感じた。雰囲気も全く異なる。

肌感覚からでしか分からなかったが、ボスニア人とクロアチア人との関係は「融和」にはほど遠い印象だった。

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1987年生まれ。神戸市出身。神戸大学大学院国際文化学研究科修了(国際関係・比較政治論コース)。専門はユーゴスラビアといった中東欧の政治・国際関係。
民間企業に勤務後、3ヶ月間の中東欧でのバックパッカー体験を経て、2016年より独立。『Compathy Magazine』『TRIP’S』など複数のメディアで活躍中。

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