激動の2017年・東南アジアのテロ情勢 (3)シンガポール

      2017/02/07

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シンガポール

「東南アジアのハブ」シンガポールを狙う数々の事件

シンガポールについて日本人が持つイメージとすれば、東南アジアのハブ、物価が高い、法律が厳しい、また周辺諸国に比べ治安が良いというイメージが先行していると思われる。

しかしISによる影響は昨今のシンガポール国内のテロ情勢にもみられるようになっている。

シンガポールの治安当局は2016年1月、海外でのテロ計画に関わった容疑で建設業に従事するバングラデシュ人労働者27人を、2015年11月から12月にかけて国内で逮捕したが、

そのうちの一部はアルカイダやISなどイスラム過激派組織に参加することを計画していたとされる。

そして2016年3月にも同様にバングラデシュ人労働者8人が逮捕されたが、彼らは自らを”バングラデシュのイスラム国”(the Islamic State in Bangladesh:ISB)と呼び、

ネット上で過激な情報を拡散し、バングラ国内でのテロを計画していたとされる。

さらに2016年8月、インドネシアの対テロ特殊部隊は、インドネシア北西部のバタム島から対岸のシンガポールを標的にしたテロ攻撃を計画していた容疑で、イスラム過激派に関連する男6人を逮捕した。

6人はパタム島からロケット弾を発射し、15キロ北にあるシンガポールの商業地域で日本人にも有名なマリーナベイザンズがある地区への攻撃を計画していたとみられ、

またシリアにいるISのインドネシア人戦闘員バルン・ナイムとも連絡と取り合っていたとされる。

シンガポール国内でも高まる緊張感

シンガポール・チャンギ国際空港photo credit: KANZAKI MATA STATION via photopin (license)

シンガポール・チャンギ国際空港(photo credit: KANZAKI MATA STATION via photopin (license) )

シンガポール当局はこのような事件、そして周辺各国のテロ情勢を考慮して、去年8月国内の主要施設のセキュリティを強化する策を打ち出した。

特に東南アジアのハブ空港であるチャンギ国際空港では厳重な体制が敷かれるようになり、銃を持って空港内をパトロールする治安関係者の姿もみられるようになった。

このように昨今シンガポールは現実的なテロの脅威に直面しているが、シンガポールは東南アジア経済のハブ的な役割を担っており、

欧米を中心とする多くの政治・経済上の重要権益があることからISなどサラフィジハーディストグループにとって格好の標的であることは間違いない。

シンガポール・南洋工科大学のテロ研究機関ICPVTRも、去年末に2017年におけるシンガポール国内でのテロリスクについて、

「シンガポールは英国の『経済平和研究所(IEP)』が2016年に発表した世界平和度指数において、世界で最も安全な国34ヶ国の1つに含まれたが、

最近シンガポール国内でもテロ未遂や個人が過激化するケースが増えており、またISはシンガポールを含む米軍主導の有志連合国に対する攻撃を呼び掛け、

同国内には欧米を中心とする多くの外国権益が集中していることから、今後も同国内でのテロ発生について十分に注意すべきだ」とする見解を出している。

和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。他に岐阜女子大学特別研究員を務める。

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