【中国】研修生の「里帰り」から見る、日本と中国

      2017/02/24

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【中国】研修生の「里帰り」から見る、日本と中国

岩手県八幡平市にある安代町。

秋田県、青森県に隣接する、人口5000人ほどの小さな町だ。

2017年2月4日、この雪深い山間の町を、中国からある家族が訪れた。

20年前、この町の製麺工場で研修生として働いていた、白雪梅さん一家だ。

当時、研修生の受け入れに関わった企業、自治体関係者らは、今回の「里帰り」をどう受け止めたのか。

今回、白さん一家の「里帰り」に同行した関係者によるレポート(以下)を掲載する。

 

(安代町を訪れた、白雪梅さん一家)

(安代町を訪れた、白雪梅さん一家)

 

安代町は、倍賞千恵子が主演した映画「はらから同胞」の舞台となった平舘から20Km北にある、温泉とスキーの町である。

農業に関しては、小さな平野はあるが水田では良い米は取れないので、そばを植えて、それを乾麺製造工場で袋詰めの蕎麦(乾麺)にし、全国に出荷している。

また花卉(かき)栽培が盛んで、リンドウは「安代リンドウ」として有名であり、日本一の生産量を誇る。

これは、水田転作事業として成功したリンドウ栽培である。

 

さて、この小さな町にある製麺工場「北舘製麺」に麺作りの研修生として1997年に来日した白雪梅さんが、今年2月4日(土)に再び来日し、20年ぶりに、安代町の地を踏んだ。

当時独身女性だった彼女だが、今度は家族一家4人での再訪となった。

夫は、矢巾町(やはばちょう、岩手県中央部にある人口約2万7000人の町)でキノコ生産を研修した元研修生。

花巻市の「ホテル紅葉館」で、研修生による集まりが開かれたときに知り合った仲である。

この再訪を受け入れ、当時の関係者を集めて歓迎会を催してくださったのが、元安代町職員のSさん、現八幡平市職員のEさん、Hさんであった。

 

(白さん一家と、出迎えた自治体関係者の面々)

(白さん一家と、出迎えた地元自治体関係者ら)

 

歓迎会は新安比温泉で行われた。

費用は、白さんが研修生として働いていた「北舘製麺」会長がすべて負担してくださった。

20年ぶりに研修生が再訪してくれたので、「これは里帰りをしてくれたのだ」と北舘会長はうれしかったのであった。

「また20年たったら再会しましょう。そのときはもう私はこの世にいないでしょうが。でも君たちはまだまだ大丈夫なはず」

という言葉が、20年ぶりの再会を果たした北舘会長の気持ちを物語っていた。

白雪梅夫妻は、壺に入ったお茶と鼻煙壺(びえんこ)に入った鼻煙、沈香(じんこう、高級香木の一種)をお土産に持ってきてくれた。

 

歓迎会での会話は、20年前のこと、今の中国の激しい変化、人々の暮らしの変化などであった。

北舘会長は、

「あー、もう一度中国に行ってみたくなった。しかし体がもうついて行かない」

と言って、この20年の時間をしみじみ感じていた様子であった。

そして参加した誰もが、今の中国の様子と、20年前とを重ね合わせて、浦島太郎のように、時代の急激な変化、時の流れの激しさを感じ取っていた。

 

20年前は、日中友好がまだ主流の時代で、研修生を本気で研修生として受け入れ、様々な技術を中国へ伝えようという良心的な企業が多かった時代であった。

実際、中国はまだまだ企業の近代化をこなしていなかった時代であった。

そのため、うまく近代化をこなしている日本から企業文化を学ぶために大量の研修生を日本に送り出している時代でもあった。

当時若かった白雪梅さんは、研修を通して日本人の働く様子を見、企業の寮で生活し、日本人の何たるかを感じ取ったのであった。

特に、大都会ではなく田舎で研修したため、Deepな日本を良く理解した貴重な研修生となったのが白雪梅さんである。

 

しかし1997年に近代都市・香港が中国に返還されてから、時代は変化して行き、中国は日本を通して近代化を学ぶという政策を放棄し、欧州と積極的に経済交流をするようになる。

日系企業は、中国の大学生の就職先として人気がなくなり、今やドイツ企業へ就職するのが栄光となる時代となった。

ドイツ企業の方が日本企業より待遇は良く、幹部に登用されるのも早く、給料も良いのである。

欧州と結んだ中国は、日中友好はどうでも良くなった。

日本は学ぶ対象ではなくなった。

そして反日が時代の潮流となって行く。

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(「いわて雪まつり」(雫石町)会場を訪れた白夫妻)

(「いわて雪まつり」(雫石町)会場を訪れた白夫妻)

 

では、白雪梅さんのような日本を理解している中国人は不要になったのか。

事実はそうではない。

現実として、中国人は日本の生活文化が大好きなのである。

まず第一に安静。

今、中国人は生活が大変である。

物価高騰、収入不安、各種の競争、おつきあい、交際費の心配、これらが中国人を疲れさせる。

従って、安静な日本文化が大好きだし、嘘をつかず、だましたりしない日本人が大好きなのである。

また日本人は見返りを求めないから、安心してつきあうことが出来る相手である。

自分たちが毎日テレビで見ている抗日ドラマ。

それに出てくる日本人像が「嘘」であることを、中国人は皆知っている。

何しろ今の若者は、皆「ドラえもん」等のアニメを見て育った世代である。日本人のことはよく知っているのである。
また中国人の女性は、日本製品が大好きだ。

スキンケアクリーム、化粧品、歯磨き、歯間ブラシ、紙おむつ等々。

女性が日本好きなら、日本好きの母親に育てられた子供が反日になるわけがない。

製麺工場で研修した白さんは、工場の徹底した衛生管理を見ているので、日本製品がどのような工場で出来ているかを知っており、日本製品に対する信頼は揺るぎない。

また工場で働いている同僚を見ているので、日本人が仕事に対して責任感を持っていることを、よく知っているのだ。

 

(新安比温泉で催された歓迎会)

(新安比温泉で催された歓迎会)

 

歓迎の宴会は、静かで、和気藹々と進行し、白さんをはじめ、北舘会長に対する尊敬の念で溢れていた。

記念写真は、北舘会長を中心にその左右に白さん一家、その隣と後列に参加者を据えて撮影された。

撮影が終わった後、しばらく歓談。時間が来て暖かい雰囲気の中、静かに解散となった。

 

中国では反日が盛んだが、日本には反中国はない。

元研修生がやってくれば、このように「里帰り」として受け入れてくれる。

これは日本人が政治的な国民ではなく、人間をしっかり人として扱ってくれる国民だということである。

「北舘製麺」も、そのような企業である。

だから、研修生が

「研修期間は1年と短かったけれど、印象は非常に強烈で一生の思い出となった」

と、20年経った今も言うのだろう。

歓迎会に集まった人たちは非常な人情家であった。

以上

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