ラマダンに高まるテロのリスク 今年も各組織が犯行よびかけ

   

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ラマダン

5月27日からイスラム教の断食月(以下、ラマダン)が始まった。

今年のラマダン期は6月25日までだが、去年のラマダン期には世界各地でイスラム国(IS)によるテロ事件が発生した。

イスタンブール・アタテュルク国際空港爆破テロ(トルコ)、プチョン・ナイトクラブ爆発テロ(マレーシア)、

オーランド・ナイトクラブ銃乱射テロ(米国)など、この記事を執筆している最中でも複数のテロ事件が思い浮かぶ。

しかし日本人にとって最も印象に残っているのは、邦人7人が犠牲になったダッカ・レストラン襲撃テロだろう。

このテロ事件は7月1日に発生したが、去年のラマダン期における最後の金曜日だった。

2016年のラマダン期におけるブランド・イデオロギーの高揚

昨年死亡したムハンマド・アドナニ。ISのナンバー2をつとめた

昨年死亡したムハンマド・アドナニ。ISのナンバー2をつとめた

去年のラマダン期に入る前、ISの広報官で事実上のナンバー2であったムハンマド・アドナニ氏(既に死亡)が

ラマダン期にテロ攻撃を仕掛けるよう呼びかけるメッセージを出したが、

ISにとっては「ラマダン期にISの支持者たちが世界各地でテロ攻撃を実行した」という事実が何よりの実績となった。

よって”ラマダン期におけるISの暴走”、より正確に言うならば”ラマダン期におけるISのブランド・イデオロギーの高揚”というものは、

今年のラマダン期にとって大きな脅威となっている。

要は、去年ISが世界各地でテロ事件を起こしたのだから、今年もやってやろう!という動きが活発化することが懸念される。

今年のラマダンもテロの呼び掛け相次ぐ

Al-Qaeda_in_the_Islamic_Maghreb_fighters

昨今もラマダン期にテロを呼びかける声明が複数出ている。例えば、先月のマンチェスターテロ事件で犯行を認めたISは、

欧米権益を狙ったテロを加速化させ、もしISの支配地域まで辿り着けないのであれば、欧米諸国内で自発的、単独的なテロを行うよう呼び掛けた。

また、イスラム過激派組織の動向を監視する米民間組織「サイトインテリジェンス(SITE)」によると、

北アフリカやサハラ地域を拠点とするマグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)も声明を発表し、

投獄されているジハーディストを解放するとともに、ラマダン期において欧米権益等を狙ったテロ攻撃を行うよう呼び掛けた。

さらに、アルカイダの創設者オサマ・ビンラディンの息子であるハムザ・ビンラディンやアラビア半島のアルカイダ(AQAP)も

同様の声明を出しており、ISとアルカイダの両方がラマダン期に欧米を狙ったテロを呼びかける状況となっている。

テロで無実の人々を殺害することは断じて許されることではない、しかしテロリストたちはその動きを止めようとしない。今年のラマダン期にも十分な注意が必要だ。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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