「予測不可能」は戦略なのか?シリア・北朝鮮に見るトランプ政権

   

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トランプ

(出典:https://www.facebook.com/pg/WhiteHouse/)

「トランプ氏は衝撃的に予測不可能であるばかりか、明らかに故意にそうしている。」ある世界有数のヘッジファンド幹部の嘆きだ。

シリアへのミサイル空爆、朝鮮半島の緊張の高まり…。大統領選時のトランプ氏を見て、果たして現在の状況を予測できた人がどれだけいるだろうか。

アメリカは今後、どのような道を歩むのか。世界の安全保障情勢に詳しい清和大学/オオコシセキュリティコンサルタンツ 和田大樹氏に話を聞いた。

トランプ政権が誕生して100日が過ぎたが、国際社会は彼をどのように観ているのだろうか?

筆者は外交・安全保障、特に国際テロ分野の研究者であることから、トランプ氏が最重要課題に掲げるイスラム国(IS)の打倒がどのように開始されるのかに焦点を当ててきた。

しかしいざトランプ氏が大統領に就任すると、今日の現状はまるで予測が不可能なものとなっている。

【シリア】感情に揺り動かされたようなアメリカ

周知のとおり、トランプ氏は大統領候補者の時から、ISの打倒を外交・安全保障上の最優先課題として強く掲げ、そのためにシリアのアサド政権やロシアとの歩み寄りの必要性も示していたが、

4月にアサド政権の化学兵器使用が発覚すると態度を一変させ、感情に揺り動かされたかのように、突然シリア軍基地へのミサイル空爆に踏み切った。

そしてそれ以降、トランプ氏のISへの敵意は以前よりトーンダウンし(イエメンやソマリア、アフガンなど各地のジハーディスト集団への圧力はオバマ氏より強く掛けているが)、

アサド政権、そしてそれを支えるロシアとの関係悪化が強調されるようになった。

【朝鮮半島】大統領選から一変、日韓への友好・北朝鮮への強硬な姿勢示す

また昨今緊張が高まる朝鮮半島情勢においても、トランプ氏は大統領選の勝利以前はアジア・太平洋の安全保障について自らの考えを示すことは少なく、

日本や韓国などの同盟国にアジア軽視と受け止められかねない状況であった。しかし、大統領就任直後にはマティス国防長官に初めの国として韓国、日本を訪問させ、

2月には安倍首相を自身の別荘に招き、共にゴルフをして親睦を深めるなど強固な日米同盟の姿を内外に示した。

そして北朝鮮については、オバマ政権時の戦略的忍耐は終わったと金正恩政権への強硬な姿勢を浮き彫りにし、今日の緊張に至っている。

トランプ政権の外交は“予測不可能戦略”が大きなポイントに

簡単ではあるが、この100日のトランプ政権を巡る情勢を振り返ると、如何にその流れを予測することが困難であるかが分かる。

政治経験のない不動産王がいきなり大国の指導者になったということで、その政治的プレッシャーやホワイトハウスの雰囲気に飲み込まれ、自らの主義・主張の転換を余儀なくされたとみることもできる。

また一方、その予測不可能性はトランプ氏のある種の外交戦略となり、“何をするか分からない米国”を中国やロシア、北朝鮮などに示すことで、

相手からの譲歩・妥協を狙っていると捉えられないわけではない。今後のトランプ政権の外交政策を観ていく上では、その“予測不可能戦略”が大きなポイントとなるかもしれない。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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