首相が真珠湾訪問 「永劫の哀悼の意を」「(日米同盟は)希望の同盟」(全文)

   

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安倍晋三 オバマ 真珠湾

オバマ大統領と共同で所感を発表する安倍首相。(出典:外務省HP)

安倍晋三首相が米国時間26日・27日にハワイの真珠湾をオバマ大統領とともに訪問した。

首相は国立太平洋記念墓地やマキキ日本人墓地、えひめ丸慰霊碑などを訪問した後、

真珠湾ビジターセンターやアリゾナ記念館を経て、オバマ大統領と共同で会見を行い、各首脳がそれぞれ所感を行った。

安倍首相は「戦争の犠牲となった、数知れぬ、無辜(むこ)の民の魂に、永劫の、哀悼の誠を捧げます。」「戦争の惨禍は、二度と、繰り返してはならない。」として、

日米同盟を「希望の同盟」として、その重要性を再び強調した。

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安倍首相・真珠湾での演説全文

安倍晋三 オバマ 真珠湾

演説する安倍晋三(出典:首相官邸HP)

【安倍総理発言】オバマ大統領、ハリス司令官、御列席の皆様、そして、全ての、アメリカ国民の皆様。 パールハーバー、真珠湾に、今、私は、日本国総理大臣として立っています。

耳を澄ますと、寄せては返す、波の音が聞こえてきます。降り注ぐ陽の、やわらかな光に照らされた、青い、静かな入り江。

私の後ろ、海の上の、白い、アリゾナ・メモリアル。

あの、慰霊の場を、オバマ大統領と共に訪れました。

そこは、私に、沈黙をうながす場所でした。

亡くなった、軍人たちの名が、記されています。

祖国を守る崇高な任務のため、カリフォルニア、ミシガン、ニューヨーク、テキサス、様々な地から来て、乗り組んでいた兵士たちが、あの日、爆撃が戦艦アリゾナを二つに切り裂いたとき、紅蓮(ぐれん)の炎の中で、死んでいった。

75年が経った今も、海底に横たわるアリゾナには、数知れぬ兵士たちが眠っています。

耳を澄まして心を研ぎ澄ますと、風と、波の音とともに、兵士たちの声が聞こえてきます。

あの日、日曜の朝の、明るく寛(くつろ)いだ、弾む会話の声。

自分の未来を、そして夢を語り合う、若い兵士たちの声。

最後の瞬間、愛する人の名を叫ぶ声。

生まれてくる子の、幸せを祈る声。

一人ひとりの兵士に、その身を案じる母がいて、父がいた。愛する妻や、恋人がいた。成長を楽しみにしている、子供たちがいたでしょう。

それら、全ての思いが断たれてしまった。

その厳粛な事実を思うとき、かみしめるとき、私は、言葉を失います。

その御霊(みたま)よ、安らかなれ――。思いを込め、私は日本国民を代表して、兵士たちが眠る海に、花を投じました。

オバマ大統領、アメリカ国民の皆さん、世界の、様々な国の皆さん。

私は日本国総理大臣として、この地で命を落とした人々の御霊に、ここから始まった戦いが奪った、全ての勇者たちの命に、戦争の犠牲となった、数知れぬ、無辜(むこ)の民の魂に、永劫の、哀悼の誠を捧げます。

戦争の惨禍は、二度と、繰り返してはならない。

私たちは、そう誓いました。そして戦後、自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら、不戦の誓いを貫いてまいりました。

戦後70年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たち日本人は、静かな誇りを感じながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります。

この場で、戦艦アリゾナに眠る兵士たちに、アメリカ国民の皆様に、世界の人々に、固い、その決意を、日本国総理大臣として、表明いたします。

昨日、私は、カネオヘの海兵隊基地に、一人の日本帝国海軍士官の碑(いしぶみ)を訪れました。

その人物とは、真珠湾攻撃中に被弾し、母艦に帰るのを諦め、引き返し、戦死した、戦闘機パイロット、飯田房太中佐です。

彼の墜落地点に碑を建てたのは、日本人ではありません。攻撃を受けていた側にいた、米軍の人々です。死者の、勇気を称え、石碑を建ててくれた。

碑には、祖国のため命を捧げた軍人への敬意を込め、日本帝国海軍大尉(だいい)と、当時の階級を刻んであります。

The brave respect the brave.

勇者は、勇者を敬う。

アンブローズ・ビアスの、詩(うた)は言います。

戦い合った敵であっても、敬意を表する。憎しみ合った敵であっても、理解しようとする。

そこにあるのは、アメリカ国民の、寛容の心です。

戦争が終わり、日本が、見渡す限りの焼け野原、貧しさのどん底の中で苦しんでいたとき、食べるもの、着るものを惜しみなく送ってくれたのは、米国であり、アメリカ国民でありました。

皆さんが送ってくれたセーターで、ミルクで、日本人は、未来へと、命をつなぐことができました。

そして米国は、日本が、戦後再び、国際社会へと復帰する道を開いてくれた。米国のリーダーシップの下、自由世界の一員として、私たちは、平和と繁栄を享受することができました。

敵として熾烈に戦った、私たち日本人に差し伸べられた、こうした皆さんの善意と支援の手、その大いなる寛容の心は、祖父たち、母たちの胸に深く刻まれています。

私たちも、覚えています。子や、孫たちも語り継ぎ、決して忘れることはないでしょう。

オバマ大統領と共に訪れた、ワシントンのリンカーン・メモリアル。その壁に刻まれた言葉が、私の心に去来します。

誰に対しても、悪意を抱かず、慈悲の心で向き合う。

永続する平和を、我々全ての間に打ち立て、大切に守る任務を、やり遂げる。

エイブラハム・リンカーン大統領の、言葉です。

私は日本国民を代表し、米国が、世界が、日本に示してくれた寛容に、改めて、ここに、心からの感謝を申し上げます。

あの「パールハーバー」から75年。歴史に残る激しい戦争を戦った日本と米国は、歴史にまれな、深く、強く結ばれた同盟国となりました。

それは、いままでにもまして、世界を覆う幾多の困難に、共に立ち向かう同盟です。明日を拓く、「希望の同盟」です。

私たちを結びつけたものは、寛容の心がもたらした、the power of reconciliation、「和解の力」です。

私が、ここパールハーバーで、オバマ大統領とともに、世界の人々に対して訴えたいもの。それは、この、和解の力です。

戦争の惨禍は、いまだ世界から消えない。憎悪が憎悪を招く連鎖は、なくなろうとしない。

寛容の心、和解の力を、世界は今、今こそ、必要としています。

憎悪を消し去り、共通の価値の下、友情と、信頼を育てた日米は、今、今こそ、寛容の大切さと、和解の力を、世界に向かって訴え続けていく、任務を帯びています。

日本と米国の同盟は、だからこそ「希望の同盟」なのです。

私たちを見守ってくれている入り江は、どこまでも静かです。

パールハーバー。

真珠の輝きに満ちた、この美しい入り江こそ、寛容と、そして和解の象徴である。

私たち日本人の子供たち、そしてオバマ大統領、皆さんアメリカ人の子供たちが、またその子供たち、孫たちが、そして世界中の人々が、パールハーバーを和解の象徴として記憶し続けてくれることを私は願います。

そのための努力を、私たちはこれからも、惜しみなく続けていく。オバマ大統領とともに、ここに、固く、誓います。

ありがとうございました。

(米国訪問 日米両首脳によるステートメント|首相官邸HP)

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