香港の不動産のアップダウンに見た返還後の歴史|中国人留学生のヨミトキ!中国経済

   

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柴晓煜

こんにちは!政治プレス新聞社インターンシップ・東北大学大学院経済学研究科の柴 晓煜 (ツァイ シャオユ)です。

中国・香港・台湾の中華圏の国々は明日27日(金)旧正月を迎えます。僕は上海出身ですが、上海も多分に漏れず絢爛豪華にお正月をお祝いします。

さて、少し間が空いてしまいましたが、前回は1970年代からの香港の株式市場についてお伝えしました。

今度はもう一つの大切な市場―――不動産市場についてお伝えしたいと思います。

香港の不動産市場の転機

香港 ビクトリアハーバー

ビクトリア・ハーバーの美しい夜景。経済格差を示す香港のジニ係数は 0.537(2011年)と、国連が警鐘を鳴らす0.6と近接する値になっている。

1997~2003年は香港にとって転機となった時期でした。1997年には中国本土への返還があり、2003年にはSARSの大流行がありました。

そんな暗黒の時期にジェットコースターのように下落していった不動産価格ですが、

今では皆さんがご存知のように香港の不動産価格はピークを更新し続けています。さて、その背景にはなにがあったのでしょう?

香港の土地の背景

香港という地域はとても複雑なところです。

政治や経済状況など複雑な構成要素がありますが、100年前は小さな漁村だったこの地域が、

英国の植民地となって以降は、政界を下野した実力者が難民やヤクザ者を伴ってやってきました。それが現在の香港を形作っているのです。

共産主義になったけれど、格差は縮まらなかった

九龍城砦

1994年に取り壊されたスラム街「九龍城砦」。一人当たりの所有面積は10㎡未満という驚くべき数値を記録していた。

東京やニューヨークのような大都市では、高いジニ係数が記録され、大きな格差がみられるのが一般的です。香港でもそうでした。

1997年の中国本土への返還で、その格差も少しは縮まるのではないかという期待がありました。

しかしながら香港は共産主義の中国本土の統治下になっても、格差は縮まるどころか、その格差は現在も拡大しつつあるのです。

香港の不動産の強烈なアップダウンの理由

香港

香港の不動産価格指標。(出典:香港政府Rating&Valuation Department)

話を香港の不動産市場に戻しましょう。

上の図をご覧いただくと、1997年から2003年にかけて驚くべき角度で土地価格が下落している一方、2003年から今日に至るまでは急角度で上がっているのがお分かりになるかと思います。

なぜ、この急激な変化が香港の不動産市場に起こったのでしょうか。

グローバルはリスクと隣り合わせ

1997年~2003年の不動産価格の下落は、前の記事でも少し言及がありますが同時期の株式市場でも見られたものでした。

不動産価格の下落はこの時期のアジア通貨危機(1997年)と密接に関わったものでした。

香港は国際市場と密接にかかわっている一方で、経済危機から自らを守るできませんでした。

1997年のこのアジア通貨危機が生じたときは、海外からの資産は相当な額になっており、不動産市場にも流入していました。

それが突然紙くずになってしまったのですから、まるで高いビルの土台が突然半分なくなってしまうようなもので、てっぺんから崩れないはずがないのです。

香港政府が助長してしまった不動産価格高騰

香港の初代行政長官・董建華。

香港の初代行政長官・董建華。

それではなぜ、2003年から不動産価格は手が付けられないほど上昇し続けているのでしょうか?

そのきっかけは、政府の政策にありました。1997年のアジア通貨危機からまだ立ち直っていない香港に追い討ちをかけるように、2003年SARSが香港を襲ったのです。

香港経済は著しい打撃を受けました。そんななかで、2003年、香港政府はある政策を打ち立てました。

それは「八萬五建屋計劃」という政策。この政策は年間85,000世帯が持ち家を獲得しやすくするように支援をするもので、

とくに中間層に向けたもので、香港の初代行政長官の董建華のリーダーシップのもと推進されました。

「八萬五建屋計劃」の失敗

しかしながら、この政策によって香港の不動産価格は70%の下落を記録。このため政情も不安になり、 董建華は更迭されました。

その後、土地の競売は1年間停止され、無利子ローンが低所得者にために設けられ、不動産の所有制限がなくなりました。

こういった政策によって数十年にわたって不動産価格が上昇し、

またこの数十年で中国経済が急速に発展してきたため、新興の富裕層向けに中国本土のバイヤーが香港の不動産市場に注目するようになりました。

香港が再び迎える危機

近年では、香港経済は再び大きな危機に直面しているようです。

第3次産業が殆どを占め、第2次産業の割合はほぼ0という独特な産業構造を持っています。香港は再び、大いなる危機に直面しているようです。

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1993年生まれ。中国・上海市出身。東北大学経済学研究科在学中(計量経済学コース)。専門は時系列と回帰モデル。上海での複数の企業での就業を経て、現在政治プレス新聞社でインターンシップ中。

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